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家族信託のデメリットとは?仕組みを理解して後悔しない選択を!

近年、成年後見制度の代替手段として注目されている家族信託
しかし、どんな制度にもメリット・デメリットがあり、家族信託も例外ではありません。

今回は、家族信託のデメリットに焦点を当て、信託契約を結ぶ前に知っておくべきポイントを解説します。


家族信託のメリット

まずは、家族信託のメリットを確認しておきましょう。

①信頼できる家族に財産管理を任せられる
②裁判所の監督が不要
③毎月の後見人報酬が不要
④不動産の売却や運用が可能

① 信頼できる家族に財産管理を任せられる

成年後見制度では、家庭裁判所が後見人を選任します。
必ずしも家族が後見人になれるわけではなく、全く知らない第三者が財産管理をするケースもあります。

これに対し、家族信託では自分が信頼する家族に財産管理の権限を与えることができるため、不安なく資産を託せます。

② 裁判所の監督が不要

成年後見制度では、後見人は定期的に裁判所へ報告する義務があります。
家族信託ではそのような煩雑な手続きが不要で、自由に財産管理を進めることができます。

③ 毎月の後見人報酬が不要

成年後見制度では、後見人に月額報酬が発生することが一般的ですが、家族信託では、家族が受託者になるため報酬は不要です。

④ 不動産の売却や運用が可能

裁判所の監督がないため、受託者(財産を管理する人)の判断で、
不動産を売却したり、賃貸経営を続けたりすることが可能です。

例えば、親が認知症になった場合でも、子が受託者となることで、
親名義の不動産を売却し、介護費用に充てることができるため、非常に実用性の高い制度です。


家族信託のデメリット

一方で、家族信託にはいくつかのデメリットが存在します。

①専門家の費用が高い
②信託できる財産に制限がある
③施設入所などの「身上監護権」がない
④まだ新しい制度のため、事例が少ない
⑤信託契約が複雑になりすぎる可能性がある

① 家族信託の手続きは専門家の費用が高い

家族信託はオーダーメイドの契約であるため、
行政書士や司法書士などの専門家へ依頼すると費用が高額になります。

相場としては30万~80万円程度かかることが一般的で、
場合によってはそれ以上の費用が発生することもあります。

💡 対策:
できるだけ費用を抑えたい場合は、家族信託のひな形を活用するなど、
専門家に相談しながら簡素な契約にするのも一つの方法です。


② 信託できる財産に制限がある

成年後見制度は、後見人が被後見人の財産を包括的に管理できますが、
家族信託では、信託契約で指定した財産しか管理できません

例えば、

  • 信託契約に含めなかった預貯金は、受託者が管理できない
  • 年金の受給権生命保険金の受取権は信託の対象外
  • 信託契約を忘れた財産は、後から管理できない

など、包括的な財産管理ができない点には注意が必要です。

💡 対策:
信託契約を結ぶ際に、できるだけ管理すべき財産をリストアップし、
契約漏れを防ぐことが大切です。


③ 施設入所などの「身上監護権」がない

家族信託は財産管理を目的とした契約であり、
成年後見制度のように「身上監護(介護や生活のサポート)」に関する権限はありません。

例えば、

  • 介護施設の入所契約を代わりに結ぶことができない
  • 医療機関での手術の同意ができない

このように、日常生活に関わる重要な手続きは、家族信託では対応できません

💡 対策:
家族信託と併せて、任意後見契約を活用することで、
「財産管理」と「身上監護」の両方をカバーできます。


④ まだ新しい制度のため、事例が少ない

家族信託は、2007年に信託法が改正されてから本格的に活用され始めた制度です。
そのため、成年後見制度と比較すると実際の運用事例が少なく
今後、法改正や新たな判例によって、契約内容の解釈が変わる可能性があります。

💡 対策:
契約内容をできるだけシンプルにし、将来的な変更にも対応できる形にするのが良いでしょう。


⑤ 信託契約が複雑になりすぎる可能性がある

家族信託は柔軟な契約が可能ですが、
逆に言うと、複雑にしすぎると問題が生じる可能性があるというデメリットがあります。

例えば、

  • 「二次相続」まで詳細に決めすぎると、想定外の問題が発生する
  • 状況が変わっても契約内容を簡単に変更できない

など、将来的な変化に対応できなくなる可能性があります。

💡 対策:
契約の段階であまり細かく決めすぎないことが重要です。
「どうしても必要な部分」に絞って契約を結ぶことで、
後々の運用がスムーズになります。


まとめ:家族信託は万能ではないが、適切に活用すれば強力な制度

家族信託には多くのメリットがある一方で、
「手続き費用が高い」「身上監護ができない」「契約内容が複雑になりやすい」といったデメリットもあります。

そのため、家族信託を検討する際は、
成年後見制度と比較し、自分に合った方法を選ぶ
専門家に相談しながら、必要最低限の契約内容にする
信託契約以外の制度(任意後見契約など)と組み合わせる

といったポイントを意識すると、後悔のない選択ができるでしょう。

「家族信託を利用すべきか迷っている…」という方は、
ぜひ専門家に相談し、自分に合った制度を選んでみてください。

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