遺産分割協議書作成を成功させるための専門家比較【愛知県名古屋市】

まずは、相続手続きや遺産分割協議書作成に関わる主な専門家4種（行政書士・司法書士・弁護士・税理士）の役割について、それぞれ確認しておきましょう。

行政書士は、相続に関する書類作成のスペシャリストです。遺産分割協議書の作成を専門家に依頼する場合、行政書士はまさに本命の担当者といえます。行政書士に依頼できる業務は主に「遺産分割協議書の作成」です。具体的には、相続人全員の合意内容を法的に有効な文章にまとめ上げることが行政書士の仕事になります。

行政書士は書類作成のプロとして、相続人間の話し合い（協議）が円滑に進むようサポートする役割も果たします。依頼を受けた行政書士は、まず被相続人（亡くなった方）の戸籍を徹底的に調査して相続人を確定し、財産目録（資産一覧）を作成するなど準備を進めます。こうした相続人関係図や財産目録の作成は、行政書士が間に入って行うことで相続人同士の認識を揃え、合意形成をスムーズにする効果があります。実際、行政書士は「予防法務の専門家」とも呼ばれ、遺産分割協議書の作成によって将来の親族トラブルを未然に防ぐ役割が期待されています。

ただし行政書士はあくまで書類作成の専門家であり、作成した協議書に基づいて不動産の登記申請を代理したり、相続人間の争いの仲裁・代理交渉をしたりすることは法律上できません。そのため、行政書士が作成した協議書を用いて登記や訴訟対応が必要になった場合は、後述する司法書士や弁護士など他の専門家の力を借りる場面もあります。その点については、行政書士自身が適切に他士業と連携して対応してくれるケースがほとんどです（この連携体制については後ほど「一樹行政書士事務所の強み」の章で詳しく触れます）。

司法書士は、不動産の相続登記（名義変更）など法律に関する登記手続きの専門家です。相続財産に土地や建物といった不動産が含まれる場合、相続人への名義変更登記を法務局で行う必要があります。司法書士は相続登記の申請書類が法務局の審査を通るよう確認し、申請から完了まで一括して代行してくれる登記のプロです。例えば、不動産を相続して名義を書き換える際、素人では戸籍や書類の不備で何度も差し戻し…ということも起こりがちですが、司法書士に依頼すれば確実かつ速やかに登記手続きを終わらせることができます。

司法書士はまた、職務上の権限で相続登記に必要な戸籍謄本や住民票などを代理取得することも可能で、不動産の相続手続きをトータルにサポートしてくれます。費用の目安としては、遺産分割協議書の作成費用が約5万円程度、そして土地や建物1件ごとの登記手続き費用が約7万円程度とされています。これは後述の弁護士よりは割安な傾向にあります。ただし注意すべき点は、司法書士は遺産分割に関する争いの代理人にはなれないということです。たとえば、相続人同士で揉めて調停や裁判になった場合、その代理交渉や法廷での弁論は司法書士の権限外です。そうした紛争対応が必要になった場合には、弁護士にバトンタッチする形になります。このように、司法書士は「不動産登記手続きのプロ」と位置づけて認識しておくとよいでしょう。

弁護士は言うまでもなく法律トラブル解決のエキスパートで、相続争いが起きた場合の交渉や訴訟対応を任せられる唯一の士業です。遺産分割の話し合いがこじれて相続人同士で合意がまとまらない、遺留分（法律で保障された取り分）の主張でもめている、あるいはそもそも遺産分割協議の場に応じない相続人がいる…といった紛争案件では弁護士への依頼が不可欠になります。弁護士であれば依頼者の代理人として他の相続人との交渉にあたり、調停や審判（裁判所）の手続きも進めることができます。実際、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割の争い（遺産分割調停事件）は年々増加傾向にあり、ここ20年で件数が1.5倍にも増えています。万一そのような事態になった場合は、迷わず弁護士に相談すべきでしょう。

もっとも、争いのない円満な相続の場合には必ずしも弁護士に依頼する必要はありません。弁護士への依頼は他の士業に比べ費用が高額になりやすいため、相続人全員が合意しているケースでは「書類作成の専門家」である行政書士や司法書士にまず依頼する方が費用対効果に優れる場面が多いです。実際の費用感として、弁護士に遺産分割協議書の作成のみを依頼する場合でも約10万円前後の費用がかかる事務所が一般的と言われます。さらに弁護士に交渉や調停手続きを依頼するとなれば、着手金として50万円前後（遺産額により変動）に加え、成功報酬として獲得した遺産の◯％（一例として14％程度）という費用体系になることが多く、紛争が長引けば数年がかりで費用も高額になります。弁護士は「相続トラブルの最後の砦」として非常に心強い存在ですが、円滑にまとまっている相続ではまず他の専門家で対応し、「いざというときに弁護士を頼る」という形でも遅くはありません。

税理士は、相続税の計算や申告手続きを専門とするプロです。相続財産の総額が一定の基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要になりますが、この相続税の代理申告は税理士にしかできない独占業務です。そのため、遺産分割協議書の作成とあわせて相続税申告が必要なケースでは、税理士のサポートが不可欠となります。実は2015年の税制改正で相続税の基礎控除額が引き下げられて以降、都市部を中心に相続税申告が必要な家庭が大幅に増えました。愛知県も例外ではなく、直近では亡くなられた方の約15％が相続税申告の対象となっています（東京都などに次ぐ全国有数の割合です）。名古屋市内で自宅不動産や預貯金をある程度お持ちのご家庭なら、「うちは関係ない」とは言い切れません。税理士に依頼すれば、相続税額の試算から申告書類の作成、税務署への申告代理までワンストップで対応してもらえます。税理士報酬の相場は遺産総額の0.5～1%程度とされ、例えば遺産総額が1,000万円なら5～10万円ほどが目安です。この中には遺産分割協議書の作成支援や相続税申告手続き一式が含まれます。税理士に依頼すれば、財産評価や節税のアドバイスも受けられるため、相続税が発生しそうな場合は早めに相談すると安心です。

なお、税理士は税務のプロではありますが、法律上は遺産分割に関する紛争の代理人にはなれません。また、不動産の名義変更登記も税理士自身は行えないため（税理士は登記申請代理の資格を持ちません）、必要に応じて弁護士や司法書士とタッグを組んで対応する形になります。信頼できる税理士であれば、そうした他士業との連携ネットワークも備えているので、依頼者として心配しすぎる必要はありません。逆に言えば、「相続税の申告も必要だけど、不動産の処分もあるし争いもありそう…」という複雑なケースでは、税理士単独ではなく弁護士・司法書士とも協力できる事務所を選ぶことがポイントになります。

ここまで各専門家の役割を見てきましたが、遺産分割協議書の作成だけで言えば行政書士に依頼するメリットは非常に大きいです。特に争いのない相続であれば、行政書士は「手続きのわかりやすさ」「費用の手頃さ」「身近で相談しやすい」という点で優れています。

行政書士に依頼できる業務は書類作成に限られるぶん、報酬額も他の士業に比べて低めに設定されている場合が多いです。前述のとおり、遺産分割協議書の作成費用相場は行政書士で約3万円～5万円程度であり、これは司法書士（約5万円～）や弁護士（約10万円～）と比較しても最もリーズナブルな水準です。実際、「とりあえず書類だけ作ってほしい」という依頼であれば、行政書士事務所によっては3万円前後の定額料金で対応してくれるところもあるほどです。相続手続きは何かと費用がかさみますから、費用を抑えて確実な書類を作成したい場合に行政書士は強い味方と言えるでしょう。もちろんこれはざっくりした相場なんで、あの先生に頼んだら全然値段が違った、とか言わないでくださいね。

行政書士は全国に多数存在し、地域に根ざした活動をしている法律系専門家です。名古屋市内にも多くの行政書士事務所があり、気軽に相談できる窓口が身近に整っています。行政書士会（愛知県行政書士会）でも「申請書類などの相談・作成・提出は国家資格の行政書士に、まずご相談ください」と呼びかけており、市民の皆さんの「とりあえず専門家に聞いてみたい」というニーズに応える体制が取られています。実際、名古屋市では行政書士会や公証人会が合同で遺言・相続に関する無料相談会を開催するなど、行政書士は市民にとって一番身近な相続専門家として活動しています。こうした機会を利用すれば「まずは現状を聞いてほしい」「何から手を付ければいいか教えてほしい」といった段階から気軽に相談できますし、仮に行政書士の手に余る問題が見つかった場合でも、適切な専門家を紹介してもらえるでしょう。

行政書士は司法書士や弁護士と異なり裁判業務は行えませんが、その分行政手続きや書類作成に特化した知識を持っています。難しい法律用語や役所の提出書類も、行政書士に間に入ってもらうことで分かりやすく説明してもらえますし、面倒な書類の取り寄せも代行してくれます。たとえば「被相続人の出生から死亡までの戸籍一式を集める」といった作業は慣れない方には大変ですが、行政書士であれば日常業務の範囲なので安心して任せられます。「こんな初歩的なこと聞いていいのかな？」という質問でも親身に答えてもらえるのが、街の身近な法律家である行政書士の良さです。

「予防法務」とは、トラブルが起きてから対処するのではなく事前にトラブルの芽を摘んでおく法的対応を指します。行政書士による遺産分割協議書の作成はまさに予防法務の一つです。しっかりと全員納得の内容で文書を残しておけば、後から「あれはもらってない」「分け方に不満がある」などと揉める余地がなくなります。行政書士は当事者間の合意内容が明確に反映された協議書になるよう細心の注意を払って作成してくれますし、将来第三者に対しても協議が成立した事実を証明できる形でまとめてくれます。これはご自身で見よう見まねで書類を作成する場合との大きな違いです。専門家のチェック無しに作成した協議書だと、文言の不備で法的効力が十分でなかったり、役所や金融機関の手続きで受理されなかったりするリスクもあります。実際、朝日新聞社の相続専門サイトでも「書き方が分からない人は専門家に依頼するとよいでしょう」とアドバイスされています。行政書士に依頼すれば、そうした不安を取り除き「この書類さえあれば大丈夫」という安心感を得られるでしょう。

名古屋市は人口230万人を超える大都市でありながら、郊外には農地や大きな宅地も残る地域です。このため、相続財産として不動産（土地・建物）の占める割合が高い傾向があります。ご実家の土地・家屋を相続するケースや、郊外の農地や山林を先祖代々所有しているケースなど、名古屋周辺ならではの事情も見られます。こうした不動産の相続では、遺産分割協議書に基づいて速やかに名義変更登記を行うことが重要です。特に2024年の法改正により、相続登記（不動産名義の変更）は義務化されました。相続によって不動産の所有権を得た人は、その事実を知った日から3年以内に登記申請をしなければならないと定められています。名古屋市でも区役所や法務局が相続登記の周知を進めており、放置されたままの名義（いわゆる「共有名義のままの祖父名義の土地」など）を防ぐ取り組みが進んでいます。したがって、名古屋で不動産を含む相続が発生した場合は、遺産分割協議書を作成して早めに登記手続きまで完了させることが肝心です。

また、名古屋特有の文化や家族観も相続に影響することがあります。例えば名古屋圏では、家督を継ぐ長男や同居して親の介護を担った子が実家の不動産を相続し、他の兄弟姉妹は金銭で代償を受け取る、といった形で円満に分割する慣習も見受けられます。その反面、不動産の評価額算定や代償金の妥当性など、専門知識が求められる場面も出てきます。地域の不動産事情に明るい専門家であれば、例えば「名古屋市○○区の土地相場ならこのくらい」など実感を伴ったアドバイスが可能ですし、必要に応じて不動産業者の査定を取り入れるといった提案もしてくれるでしょう。行政書士をはじめ地元の士業は、地域の慣習や背景も踏まえて柔軟に助言してくれるため、名古屋で相続手続きを進める際には心強い存在です。

さらに、名古屋市は中部地方の中心都市であり、ご親族が市内に留まらず他県に住んでいるケースも珍しくありません。このように相続人が全国に散らばっている場合でも、行政書士に依頼すれば郵送やオンラインでのやり取りを駆使して効率的に全員の合意を取り付け、書類への署名押印を進めてくれます。地域特有の課題というわけではありませんが、遠方に住む親族との調整も含めてサポートしてくれる点は、専門家に依頼する大きなメリットです。

最後に、名古屋市ならではの相続財産の特徴として自動車や社用車の相続があります。名古屋は自動車保有台数が多い土地柄ですので、被相続人が車を所有していた場合、その名義変更や売却処分も検討しなければなりません。遺産分割協議書には車両の扱いも記載できますし、行政書士であれば車の相続手続き（名義変更登録や抹消登録等）にも精通しています。土地・建物だけでなく、こうした動産類の相続手続きまで含めてトータルにアドバイスできるのも行政書士の強みです。

名古屋市で相続手続きを検討中の皆さまにぜひ知っていただきたいのが、一樹行政書士事務所の総合力です。当事務所は行政書士を中心に、必要に応じて司法書士・弁護士・税理士・不動産業者とも連携しながら、お客様の相続手続きを丸ごとサポートいたします。行政書士単独では対応しきれない分野であっても、ご安心ください。他分野の信頼できる専門家とチームを組むことで、ワンストップで問題解決を図れる体制を整えています。

具体的には、当事務所で遺産分割協議書の作成をご依頼いただいた場合、その後の不動産の相続登記手続きは提携司法書士が迅速に対応いたします。書類作成から登記完了までスムーズにバトンタッチできますので、お客様自身が別途司法書士を探して依頼し直す手間はありません。また、相続税の申告が必要と判断される場合には、協力関係にある税理士を速やかにご紹介し、財産評価や申告書作成までシームレスに進めます（必要書類や協議書の内容は事前に共有しているため、話が早いというメリットがあります）。万一、相続人間で意見の対立が表面化してしまった場合でもご心配なく。当事務所では顧問弁護士とも連携しており、調停や訴訟が避けられないケースでは早い段階から弁護士と協力して最善の解決策をご提案いたします。行政書士が窓口となり、状況に応じてベストな専門家チームを編成できるのが一樹行政書士事務所の強みです。これはお客様にとって、常に一本の窓口で相談できる安心感につながるでしょう。

さらに当事務所は、不動産の売却・活用まで見据えたサポートを提供しています。相続した不動産を「誰も住まないので売却して現金化したい」「駐車場や賃貸物件として活用したい」といったご要望にもお応えできるよう、名古屋市内の優良不動産業者ともネットワークを構築しています。例えば、遺産分割協議書でご実家の不動産を特定の相続人が取得することになった場合、その不動産の売却手続きや有効活用のご相談までワンストップで対応可能です。不動産の名義変更後、信頼できる不動産仲介会社と連携し市場価格の査定から買い手探し、契約手続きまでサポートいたしますので、「相続でもらったはいいけど処分に困る」という心配も不要です。また、売却までは考えていないけれど空き家の管理が不安…という場合には、賃貸やリフォームによる活用提案も含めてアドバイスいたします。行政書士事務所として、不動産の利活用まで踏み込んだサービスを提供できるのは当事務所の大きな特徴です。

私は、名古屋市および近郊の相続案件を数多く手がけてきた実績があります。土地勘のある地域で培った知見を活かし、お客様それぞれの事情に合わせたオーダーメイドのサポートをお約束します。「他の士業との橋渡し役」としての行政書士本来の役割を最大限発揮し、相続に関するあらゆるお悩みにワンストップで対応いたしますので、まずはどんなことでもご相談ください。

相続の内容や状況によって、頼るべき専門家が異なるのは本記事で述べた通りです。相続税の申告が必要なら税理士、登記手続きが中心なら司法書士、揉めそうな気配があるなら弁護士と、それぞれのプロがいます。しかし、どの専門家に依頼すべきか最初から判断するのは簡単ではありませんし、複数の問題が絡むケースでは「結局誰に相談すればいいの？」と迷ってしまうのが実情でしょう。そんな時こそ、まずは行政書士に相談してみることをおすすめします。行政書士は相続手続き全般の流れを把握しているため、ヒアリングした内容から必要となる他士業の助力を見極め、的確にアドバイスしてくれます。言わば、行政書士に相談することで最初の窓口を一本化でき、その後の手続きの振り分けもスムーズに進むというわけです。

名古屋市で遺産分割協議書の作成を検討している皆さま、まずは地元の行政書士に気軽にお問い合わせください。専門家の力を上手に借りて、安心・確実な相続手続きを進めましょう。一樹行政書士事務所では、初回相談から丁寧にお話を伺い、あなたの状況に合った最適なサポートプランをご提案いたします。遺産分割協議書の作成はゴールではなく、円満な相続のスタートです。専門家チームとともに、不安なく次のステップへ踏み出しましょう。まずはお気軽にご相談ください。