株式会社ランドアーズ

行政書士が教える遺言書作成の基本とポイント

お問い合わせはこちら

名古屋市中区平和1-6-16

行政書士がサポートする遺言書作成ガイド

行政書士が教える遺言書作成の基本とポイント

2025/04/25

遺言書は、ご自身の財産を「誰に、どのように」引き継ぐかを明確に示す大切な書類です。特に50代以降の親世代にとって、早めに遺言書を準備しておくことは、残される家族への思いやりと言えます。遺産相続をめぐる家族間のトラブルは年々増加しており、令和3年(2021年)には家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割の争いが13,447件にも上りました。この件数は 過去20年で約1.5倍 に増えており、決して他人事ではありません。しかも、その約76%は 遺産額5,000万円以下のごく普通の家庭 で起きています。必ずしも大富豪でなくても相続争いは起こりうるのです。

こうした客観的な統計からも、遺言書を用意することで相続トラブルを予防できる可能性が高まることがわかります。遺言書があれば、遺産分割の方針があらかじめ示されるため、残された家族がゼロから話し合って決める負担が減り、感情的な対立を避けやすくなります。また「法定相続人以外にも財産を残したい人がいる」「特定の不動産は特定の相続人に相続させたい」「子どもたちが遺産分割でもめないようにしたい」といった希望がある場合には、遺言書によってご自身の意思を確実に伝えることができます。

一樹行政書士事務所

一樹行政書士事務所

主に、相続に関わる相談に真摯に向き合い、ご家族それぞれの背景や想いに寄り添いながら的確な対応に行政書士として名古屋を中心に活動しております。相続人の調査や財産の確認はもちろん、他士業との連携により、相続業務を一括でサポートしております。

〒460-0021
愛知県名古屋市中区平和1丁目6番16号 ベルメゾン藤401

052-990-3200

目次

    遺言書を残すことのメリット

    家族の争いを防ぐ: 前述のとおり、遺言書がないと遺産分割を巡って話し合いが長引き、争いになることがあります。遺言書で方針を示すことで家族の負担と対立を軽減できます。

    法定相続分と異なる分配が可能: 遺言書がない場合、法律で定められた割合での相続(法定相続)になりますが、遺言書があれば法定相続人以外の人に財産を遺すことも可能ですuchida.or.jp。例えば、特別に世話になった子や孫以外の親族、内縁の配偶者、孫、あるいは寄付なども遺言で指定できます。

    相続手続きがスムーズに: 遺言書があると、財産名義の変更手続きなどが円滑に進みます。特に公正証書遺言の場合、家庭裁判所での検認(遺言書の内容確認手続き)が不要になるため、相続開始後の手続き期間を短縮できます。

    豆知識

    遺言書が複数見つかった場合、通常は日付が最新のものが有効になります。常に最新の意思を反映できるよう、状況が変われば遺言書を更新することも検討しましょう。

    遺言書の種類と特徴

    遺言書の種類

    日本の法律で認められる主な遺言書の方式は「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、(および利用は稀ですが「秘密証書遺言」)の3種類です。ここでは特によく利用される自筆証書遺言と公正証書遺言について、その特徴とメリット・デメリットを解説します。

    自筆証書遺言とは

    自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)は、遺言者本人が遺言の全文を自分で書いて作成する遺言書です。用紙と筆記具があればいつでも作成でき、費用もかかりません。遺言の内容を他人に知られず秘密にできる点も利点です。

    メリット: 手軽に費用ゼロで作成できる。思い立った時にいつでも書き直しが可能。他人に内容を知られずに作成できる。

    デメリット: 形式不備で無効になるリスクがあります。法律上満たすべき要件を一つでも欠くとせっかく書いた遺言書が法的に効力を持たなくなってしまいます。また、自宅で保管する場合は紛失・破棄・改ざんの恐れや、家族が遺言書の存在に気付かないリスクもあります。遺言者が亡くなった後、遺言書を発見した相続人は(後述の保管制度を利用していなければ)家庭裁判所で検認手続きを経る必要があり、相続手続きに時間がかかります。

    ※秘密証書遺言…遺言書の内容を秘密にしたまま公証人に存在だけを証明してもらう方式ですが、利用件数は少なく本記事では詳細を割愛します。

    公正証書遺言とは

    公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。遺言者が口述した内容を公証人が文書にまとめ、公証人と証人2人以上の立会いのもとで作成します。

    メリット: 法律のプロである公証人が関与するため形式不備による無効の心配がほとんどなく、遺言内容が確実に法的効力を持つ形で残せます。原本は公証役場で厳重に保管され改ざんや紛失の恐れもありません。さらに、自筆証書遺言と異なり家庭裁判所での検認手続きが不要です。こうした信頼性から、日本で作成される遺言書の約8割以上は公正証書遺言と言われています。

    デメリット: 手数料など費用がかかること、証人2名の立会いが必要で手続きの手間が自筆より多いことです。公証人に支払う手数料は遺産額に応じて数千円~数万円単位となります(財産額によってはさらに高額になります)。また、公証人や証人に内容を話すため遺言内容を完全に秘密にはできない点もあります。ただし公証人・証人には守秘義務がありますので内容が漏れる心配は通常ありません。

    自筆証書遺言の作成ステップ(初心者向け)

    自筆証書遺言を作成するにあたり、初心者が押さえておくべき基本ステップを示します。自筆で遺言書を書く場合、特に形式上のルールを守ることが重要です。以下のステップと要件をチェックリストとして活用してください。

    自筆証書遺言作成の4つのステップ

    財産目録の作成

    まずご自身の財産を洗い出します。土地・建物などの不動産、預貯金や有価証券、現金、生命保険、その他貴重品など、すべての財産をリストアップしましょう。漏れがないようにすることが肝心です。各財産について「保管場所」や「口座の支店名」などもメモしておくと、後の手続きで役立ちます。

    次に誰に何を遺すかを決めます。まず法定相続人が誰になるか戸籍などで確認し、各人にどの財産を相続させるか配分を考えます。法定相続分(法律で定められた相続割合)を一つの目安にしつつ、各相続人の状況や遺留分(直系尊属や配偶者・子などに保証された最低取り分)にも配慮しましょう。遺留分を無視した内容にすると、結局相続人間で争いが起きるリスクがあります。必要に応じて専門家に相談し、全員が納得できるような配分を検討します。また、遺言執行者(遺言の内容を実現する人)を誰にするか決め、遺言書に明記しておくと、実際の手続きがスムーズです。

    決めた内容に基づき、遺言書を自筆で書きます。用紙は長期保存に耐えうる上質紙を使用し、消えない筆記具(ボールペンや万年筆)で全文を遺言者本人が手書きします。パソコンや代筆による遺言文書は無効になるので注意してください(※財産目録は後述のとおりパソコン作成可)。本文中には作成日付(〇年〇月〇日)を日付まで特定できるように明記し、署名(氏名)を本人が記入します。最後に押印(認印でも可ですが実印が望ましい)をしてください。訂正や加筆がある場合には、二重線で訂正箇所を消した上で所定の方法で追記し、欄外に「〇字削除・〇字加入」等と付記して署名押印する必要があります。(※訂正が多い場合は書き直すほうが無難です。)また、不動産や預金など財産を記載する際は、できるだけ正式な名称で正確に記載します。例えば不動産であれば登記簿謄本(登記事項証明書)記載どおりの所在地や地番・家屋番号、預金なら銀行名・支店名・種目・口座番号まで特定しましょう。曖昧な書き方をすると無効と判断される恐れがあるため注意が必要です。

    書き上げた遺言書は封筒に入れて封印し、厳重に保管します。封筒には「開封しないで家庭裁判所に提出すること」と明記しておくと、遺言者死亡後に勝手に開封されるのを防げます。封印には遺言書と同じ印鑑で押印してください。保管場所は、ご家族がすぐに見つけられる場所が望ましいですが、利害関係者(相続人)の手元に置くと改ざん・隠匿のリスクがあるため避けます。信頼できる第三者や遺言執行者予定の人、専門家(行政書士や弁護士)に預ける方法もあります。また次項で述べる法務局の保管制度を利用する手もあります。

    自筆証書遺言の形式要件チェックリスト(民法第968条)

    全文を遺言者が自書したか(※財産目録は除きパソコン作成可)

    作成した年月日を明記したか(「○月吉日」など不明確な日付は不可)

    遺言者本人が署名したか(戸籍どおりの氏名で署名するのが無難)

    押印したか(認印でも有効だが実印が望ましい)

    (訂正がある場合)訂正方法に則り、欄外に付記の上、訂正箇所に署名押印したか

    上記の要件をすべて満たしていれば、自筆証書遺言は法律上有効に成立します。なお、2019年1月の法改正により、財産目録(財産リスト)はパソコンで作成したものを添付することが認められるようになりました。不動産目録など大量の漢字を書く手間が省けますが、財産目録にも遺言者の署名押印が必要です。

    法務局の自筆証書遺言書保管制度の活用(2020年開始)

    自筆証書遺言の弱点である「紛失・改ざんのリスク」や「検認の手間」を解消するため、令和2年(2020年)7月から法務局の『自筆証書遺言書保管制度』がスタートしました。この制度を利用すると、遺言書を法務局(遺言書保管所)で原本と画像データが安全に保管されます。保管された遺言書は遺言者の死亡後、家庭裁判所での検認が不要となり、事前に届け出ておけば死亡時に指定した相続人へ「遺言書を預かっています」という通知が出される仕組みもあります。保管申請時には遺言書は封をせず提出する必要がありますが、法務局で厳重に管理されるため改ざんや紛失の心配はありません。費用も手数料数千円程度(収入印紙代)と比較的安価です。

    ▼ワンポイント:

    遺言書保管制度を利用すると、ご家族は遺言者の死亡後に法務局で遺言書情報証明書を取得するだけで内容を確認でき、家庭裁判所での検認が不要になります。安全かつ確実に遺言を残せる方法として、自筆証書遺言を書く場合は積極的に検討するとよいでしょう。

    公正証書遺言の作成ステップ

    行政書士が保障する遺産分配の安心感

    公正証書遺言を作成する場合は、公証役場での手続きとなります。初めて公証役場を利用する方でも分かりやすいように、具体的な流れを説明します。行政書士など専門家に依頼せず自分で直接公証役場に行く場合の一般的な手順を示します。

    公正証書遺言作成の基本的な流れ

    遺言内容の準備

    公証人は遺言の内容を考えてはくれません。まずはどの財産を誰に遺すかという遺言内容の骨子(遺産分配の方針)を自身で整理します。自筆証書遺言の場合と同様、財産目録を作成し、法定相続人や受け取り手となる人を洗い出した上で、大まかな配分案を決めておきましょう。内容に不安があれば行政書士や弁護士、税理士にアドバイスを求めることも有効です。

    公正証書遺言には証人が2名以上必要です。証人には一定の資格制限があり、相続人や受遺者(遺贈を受ける人)及びそれらの配偶者・直系血族、未成年者、公証人の関係者は証人になれません。信頼できる友人知人などに依頼する必要がありますが、難しければ公証役場で職員などを有償で手配してもらうことも可能です。専門家に遺言作成を依頼した場合は、その専門家が証人を務めてくれるケースもあります。

    公証役場との事前打ち合わせまでに、遺言作成に必要な書類を準備します。一般的には、遺言者本人の戸籍謄本や住民票、財産を証明する書類(不動産の登記簿謄本や固定資産評価証明書、預金通帳の写し等)、相続人の戸籍謄本などが必要になります。公証人と相談しながら不足のないよう揃えましょう。戸籍謄本や登記簿(登記事項証明書)は普段見慣れない書類で読み解くのが難しいものですが、相続人を正確に確定したり財産を正しく特定するために必須です。古い戸籍は専門知識がないと解読が困難で、初心者が読むと1通の解読に15分以上かかったりします。不安な場合は行政書士などに取得・内容確認を依頼するとよいでしょう。

    公証役場に連絡し、作成したい遺言の概要を伝えて公証人と日程調整を行います。必要書類が揃っていれば、公証人が事前に遺言書案を作成してくれます。打ち合わせ時に公証人へ遺言の趣旨(誰に何を遺すか)を口頭で伝え、公証人が案文をチェックします。この段階で内容に不備がないか、公証人から法律的なアドバイスをもらうこともできます(※公証人は中立的立場のため、遺言内容そのものの妥当性については踏み込んだ助言はしません)。

    予約した日時に遺言者本人と証人2名で公証役場に行きます。(病気などで難しい場合、事前に依頼すれば公証人が自宅や病室に出張してくれることもあります。)当日は公証人が遺言者に本人確認(身分証提示や意思能力の確認)を行った上で、遺言内容を最終確認します。公証人が遺言書を読み上げ、内容に間違いがないか遺言者と証人に確認します。問題がなければ、遺言者・公証人・証人全員が遺言書に署名・押印して完成となります。公証人が原本を保管し、遺言者には正本・謄本が交付されます。最後に公証人に手数料を支払い、一連の手続きは完了です。

    公正証書遺言作成時に必要な主なものチェックリスト

    1. 遺言者本人の実印と印鑑証明書(発行後3か月以内)および身分証明書(運転免許証など)

    2.  

      相続人全員の戸籍謄本、受遺者(相続人以外で財産を受け取る人)がいる場合はその住民票

    3. 不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書(財産内容の証明資料)

    4. 預貯金口座の通帳コピーや証券会社の残高証明書 など財産に関する資料

    5. 証人2名の氏名・住所・職業・生年月日が確認できるもの(事前に公証人に連絡)

       

    ▼コラム:公正証書遺言を作るとき行政書士に頼むべき?

    公正証書遺言は自分だけでも作成可能ですが、行政書士など専門家に依頼すると手続きが格段にスムーズになります。具体的には、行政書士が相続人や財産を調査し、公証人との打ち合わせや書類提出、証人引受まで代行してくれるため、遺言者本人は最終的に公証役場で署名するだけで済みます。詳細は次の章で解説しますが、「平日日中に動くのが難しい」「戸籍を集めたりするのが大変」と感じる方は専門家の活用も検討するとよいでしょう。

    行政書士が関与する具体的なサポート事例

    行政書士(ぎょうせいしょし)は、相続・遺言分野において書類作成のプロフェッショナルとして頼れる存在です。「遺言書の書き方がわからない」「必要書類を集めるのが大変」「法的に有効な内容になっているか不安」といった場合に、行政書士がサポートできる場面をいくつか紹介します。

    遺言書作成のトータルサポート

    行政書士に依頼すると、遺言書の作成準備から完成までの流れを一括して支援してもらえます。例えば遺言内容のヒアリングを基に遺言書の原案を作成してもらい、法律要件を満たす正確な文面に仕上げることができます。自分で書く場合にありがちな漏れや誤記載を防ぎ、「無効にならない遺言書」の作成に貢献します。

    戸籍・登記簿の収集代行と内容確認

    相続人を確定するには被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本、財産確認には不動産の登記事項証明書など多くの書類が必要です。行政書士はこうした公的書類の取り寄せ代行が可能で、内容を読み解いて相続関係を整理してくれます。専門知識が要求される明治時代の古い戸籍や複雑な家系図の読み取りも、行政書士であれば的確に対応できます。初心者にとって難解な書類もプロに任せれば安心です。

    公正証書遺言手続きの代理・同行

    公正証書遺言を作成する際、行政書士に依頼すれば公証人との事前打ち合わせや必要書類の提出を行政書士が代行してくれます。遺言者本人と証人が公証役場へ行く当日も、行政書士が証人の一人として立ち会いサポートしてくれるため心強いでしょう。体が不自由な方のために行政書士が病院へ同行して公証人の出張手続きを調整した事例もあります。専門家のサポートにより、手続きミスや準備漏れなく確実に遺言書を完成させることができます。

    他士業とのワンストップ対応

    遺言や相続の実務では、行政書士だけでなく弁護士・司法書士・税理士といった他の専門家と連携して問題解決に当たる場面も多々あります。行政書士は代理権の関係で、訴訟や登記申請、税務申告といった業務は直接行えません。しかし信頼できる弁護士や司法書士、税理士と協力し、必要に応じて引き継ぐことでワンストップで対応してくれます。例えば相続税の節税対策が必要なケースでは税理士に相談しながら遺言内容を検討したり、不動産の名義変更登記が必要な場合は司法書士と連携して手続きを進めたりと、各分野の専門家チームでサポートしてもらえます。行政書士自身が遺言執行者に指定された場合でも、必要に応じて他士業と協働しながら遺言内容の実現に尽力してくれるでしょう。

    以上のように、行政書士に依頼することで「手続きの簡略化」と「遺言書の正確性担保」という大きなメリットが得られます。自分ひとりで全て対応する自信がない場合は、無理をせず専門家の力を借りることも検討してください。費用は事務所によりますが、公正証書遺言の一連サポートで数万円程度が目安とされています。家族の安心と確実な相続のための投資と考えると良いでしょう。

    知っておきたい最新情報と今後の制度変更

    近年、相続・遺言を取り巻く制度は大きく変化しています。最新の実務情報を把握し、適切に対応することが重要です。

    相続登記の義務化(2024年4月~)

    これまで、亡くなった方から不動産を相続しても登記名義変更は任意でした。しかし2024年4月1日から相続登記(不動産の名義変更)が義務化され、相続によって不動産を取得した人は取得を知った日から3年以内に登記申請しなければならなくなりました。正当な理由なく怠ると**10万円以下の過料(罰金)**が科される可能性があります。相続登記をしないまま放置された不動産が社会問題化したことを受けた改正で、今後は遺産分割協議がまとまらない場合でも仮登記する制度(相続人申告登記)も用意されています。遺言書があれば不動産の承継人が明確になるため、速やかな登記義務履行にもつながります。 相続登記義務化により、「遺言書で不動産の受取人を指定しておく」ことの重要性が一段と増したと言えるでしょう。

    デジタル遺言への対応(将来の法改正)

    遺言書の作成方法についても時代の流れに沿った変化が起ころうとしています。2023年6月に公証人法・民法の一部改正が成立し、令和7年(2025年)中に公正証書遺言のデジタル化(オンラインでの作成)が開始される予定です。将来的には自筆証書遺言についても、紙ではなくデジタルデータで残せる「デジタル遺言」制度の創設が法務省で検討されています。※ただし2025年時点では、電子データのみの遺言書は法的に有効とは認められていません。いずれ制度が整えば、自宅にいながらオンラインで遺言書を作成・保管するといったことも可能になるかもしれません。最新情報にアンテナを張りつつ、現時点では確実な紙の遺言書作成を進めましょう。

    その他の留意点(民法改正など)

    2019年の民法改正では、前述した自筆証書遺言の財産目録のパソコン作成解禁や、自筆証書遺言の保管制度創設が行われました。加えて、相続人以外の第三者(受遺者)がいる場合の遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)のルール変更など、相続を巡る法律もアップデートされています。遺留分については先述のとおり、特定の法定相続人の取り分を大きく減らす内容の遺言を書くと、結局その人から訴えられてしまうケースもあります。遺言を書く際は、こうした法律上保証された権利にも配慮し、必要なら専門家と相談してバランスを取った内容にすることが望ましいでしょう。遺言は自由に内容を決められますが、法律知識を踏まえてこそ「家族みんなが幸せになれる遺言書」になります。

    まとめ:早めの準備で安心を手に入れる

    人生100年時代とはいえ、将来何が起こるかは誰にも分かりません。50代以降の今のうちから遺言書作成に着手しておけば、万一のときにもご家族にスムーズに想いを伝えることができます。遺言書は一度作ったら終わりではなく、状況に応じて書き直すことも可能です。大切なのは「いざ」というときに有効な遺言書が存在していること。将来の相続手続きの負担軽減やトラブル防止のため、ぜひ前向きに検討してみてください。

    「自分で書くのは難しそう…」と感じたら、無理をせず行政書士など専門家に相談しましょう。行政書士は街の法律家とも呼ばれ、遺言・相続の実務に精通しています。相談すればあなたの状況に合わせた最適なアドバイスをもらえるはずです。費用や手間と、遺言書を用意することで得られる家族の安心を天秤にかけ、ぜひ前向きに準備を進めてください。

    最後に、大切な家族へのメッセージとして、遺言書に一言感謝や想いを書き添えるのも良いでしょう。法律的効力は無くても、あなたの気持ちはきっと伝わります。遺言書は、残される家族への最後のプレゼントです。この機会にぜひ、自分らしいエンディングの形を考えてみてください。

    参考資料

    本記事は以下の公的・専門機関の資料を参考に執筆しています。相続トラブルの統計データや傾向について詳しく知りたい方は、下記リンクをご覧ください。

    一般社団法人 相続実務支援協会:「相続トラブルの実態調査」
    https://www.ht-tax.or.jp/sozoku-guide/inheritance-dispute

    一樹行政書士事務所

    主に、相続に関わる相談に真摯に向き合い、ご家族それぞれの背景や想いに寄り添いながら的確な対応に行政書士として名古屋を中心に活動しております。相続人の調査や財産の確認はもちろん、他士業との連携により、相続業務を一括でサポートしております。

    一樹行政書士事務所

    〒460-0021
    愛知県名古屋市中区平和1丁目6番16号 ベルメゾン藤401

    052-990-3200

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。