相続手続きでの銀行対応:知っておきたい基本とコツ
2025/05/02
預金者が亡くなると銀行口座は凍結され、遺族であっても正式な相続手続きを経なければお金を動かすことができません。そのため、まず遺族や遺言執行者(※遺言で指定された財産処理の代理人)が預金の相続手続きを行う必要があります。本記事では、銀行預金相続の一般的な手続きの流れや必要書類をわかりやすく解説し、名古屋エリアの方向けに名古屋銀行での具体的な手続き例もご紹介します。専門用語には丁寧に説明を添え、初心者の方にも理解しやすい内容を目指しました。最後に、困ったときに頼れる専門家への相談先についてもご案内します。
目次
銀行預金相続の手続きの流れ

銀行への連絡と口座の凍結
口座名義人が亡くなったら、できるだけ早く取引銀行にその旨を連絡します。銀行側では相続のケースに応じて具体的な手続き方法を案内してくれます。なお、この相続の届出を行うと同時に、故人名義の口座での入出金など一切の取引は原則として停止(凍結)されます。口座の凍結により、家族であっても勝手に預金を引き出すことはできなくなります。

相続手続きで重要な銀行の役割
必要書類の準備
銀行から案内された書類を確認し、不足している書類を揃えます。典型的なケースでは、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡まで連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本・印鑑登録証明書、故人の預金通帳・キャッシュカードなどが必要になります。必要書類は遺言書の有無や相続内容によって異なるため、事前によく確認しましょう。遺言書がない場合、相続人全員で話し合って財産の分け方を決めた遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)を作成しなければなりません(全員の署名・実印押印が必要)。一方、遺言書がある場合は遺産分割協議書は不要になり、その遺言の内容に沿って手続きを進めます(※自筆証書遺言の場合は家庭裁判所で検認という手続きを経る必要があります)。

銀行所定の書類に記入・提出
銀行から渡される所定の相続手続依頼書などに必要事項を記入します。相続人全員の署名・押印(実印)を揃えたうえで、上記の必要書類一式とともに提出します。銀行窓口で不明点を相談しながら記入すると安心です。提出後、銀行側で書類の内容確認・審査が行われます。
名古屋銀行の具体例:預金相続手続きの特徴

東海地方では名古屋銀行を利用している方も多いでしょう。名古屋銀行は愛知県内に多数の支店を持ち、多くの愛知県民が口座を所有する地域密着型の銀行です。同銀行の公式サイトでも相続手続きの流れを図解付きで案内しており、相続相談専用の窓口「相続相談プラザ」も設けられています。ここでは名古屋銀行で実際に行われている預金相続手続きのポイントをご紹介します。

最初の届出と口座照会
名古屋銀行では、まず所定の様式で相続の届出を行います。お取引店(口座開設店)か最寄りの支店に、故人が亡くなったことを連絡しましょう。窓口に行く際は、故人の預金通帳やキャッシュカードを持参するとスムーズです。銀行の端末で故人名義の口座を「名寄せ」(なよせ)してもらうことで、名古屋銀行内の他支店も含めた全ての預金残高を把握できます。

案内冊子と手続き方法の選択
相続の届出を行うと、銀行から「相続預金の支払手続等に関するご案内」という冊子を渡されます。この中に具体的な手続きフローの説明や必要書類の一覧、そして実際の手続依頼書(用紙)が含まれています。名古屋銀行では相続による預金手続きとして、「払戻し手続」と「名義変更手続」の2通りが用意されています。払戻し手続は故人の預金を解約して相続人へ現金または振込で支払う方法、名義変更手続は故人名義の口座を相続人名義に変更して承継する方法です。たとえば定期預金で満期前に解約すると損になるケースでは、名義変更によって口座をそのまま引き継ぐことも可能です。どちらの手続きを選ぶかによって、その後提出すべき書類も一部異なるため、案内に沿って確認しましょう。

必要書類の提出
名古屋銀行に提出する主な書類は、一般的なケースで前述したものと同様です。加えて、銀行所定の「相続に関する依頼書」(相続人全員の署名・実印押印が必要)を用意します。払い戻しを行う場合は相続人代表者(受取人)の通帳・実印・本人確認書類も求められます。口座の名義変更を行う場合は、特定の相続人がその口座を引き継ぐ形になるため、遺産分割協議書など相続人全員の合意を証明する書類も追加で提出します。銀行担当者と相談しながら、不備のないよう書類を揃えましょう。

手続き完了と相談窓口
名古屋銀行では各支店に相続手続きの専任担当者が配置されていることが多く、相談しながら手続きを進められます。提出書類に基づき所定の審査が終わると、預金の払戻金が指定された相続人代表口座へ振り込まれたり、名義変更が完了した新しい通帳が交付されたりします。手続き全体にかかる時間はケースによりますが、相続人の皆様が速やかに書類を用意すれば、その分早く完了します。万一手続きが難航する場合でも、名古屋銀行の相続相談プラザで専門スタッフに相談することが可能です。必要に応じて銀行から信頼できる専門家(司法書士や税理士など)を紹介してもらうこともできます。地元に根差した銀行ならではの丁寧な対応を受けつつ、不安な点は遠慮なく質問するとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)

家族が亡くなると銀行口座はすぐに凍結されてしまいますか?
はい。銀行は口座名義人の死亡を知ると、その口座を凍結(取引停止)します。これは遺産分割が終わるまで勝手に預金が引き出されてしまうのを防ぐための措置です。したがって、相続手続きを完了するまでは家族であってもその口座からお金を引き出すことはできません。まずは銀行に速やかに連絡を入れ、正式な手続きへと進みましょう。

葬儀費用など、すぐに現金が必要な場合はどうすればいいですか?
2019年の法改正により、遺産分割前でも一定額の預貯金を相続人が単独で引き出せる「預貯金の仮払い制度」が創設されました。各金融機関ごとに最大150万円までという上限が定められており、たとえば葬儀代など緊急に資金が必要な場合に、相続人の一人が仮払いを受けることができます。ただし150万円を超える額を引き出すには、従来通り相続人全員で正式な手続きを行うか、家庭裁判所に仮分割の許可を申立てる必要があります。仮払い制度を利用する場合も、後で他の相続人と精算(差し引き)することになる点に注意してください。

預金相続の手続きでは、どんな書類を用意すればよいですか?
基本的には以下のような書類が必要になります(銀行からの案内に沿って準備しましょう)。
・故人の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
※もしくは法務局が発行する法定相続情報一覧図(遺産相続関係を証明する書類)
・相続人全員の戸籍謄本(最新のもの)および住民票(提出先による)
・相続人全員の印鑑証明書(発行後3か月以内など期限注意)
・故人の通帳・キャッシュカード(銀行で回収されます)
・銀行所定の相続手続依頼書(相続人全員の署名・実印押印)
・遺言書(あれば)または遺産分割協議書(相続人全員で作成したもの)
これらは一般的な必要書類の例です。相続の内容によって追加書類が求められる場合もあります。なお、法定相続情報一覧図を取得しておけば戸籍謄本の代替として提出できるため、複数の金融機関で手続きする際にも便利です。

相続人が複数いる場合、代表者だけで銀行手続きを進めることはできますか?
預金は法律上、相続人全員の共有財産となります。そのため銀行では、原則として相続人全員の合意や署名が揃った書類の提出を求めます。代表の相続人お一人だけで手続きを完了させることはできず、他の相続人にも署名押印や必要書類の提供に協力してもらう必要があります。遠方にいる相続人がいる場合は郵送で書類をやり取りして手続きを進めます。また、相続人の中に一人でも手続きに応じない方がいると預金を引き出すことはできません。話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所で調停・審判を行う必要がありますので注意しましょう。

遺言書がある場合の銀行手続きはどうなりますか?
有効な遺言書がある場合、その内容に従って預金の分配を行います。公正証書遺言(公証役場で作成された遺言)の場合はそのまま提出すれば手続きできます。一方、故人が自筆で書いた遺言書(自筆証書遺言)の場合、開封せずに家庭裁判所で検認という手続きを経る必要があります(ただし法務局の遺言書保管制度を利用していた場合、検認は不要です)。遺言書に遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ:遺言の内容を実現する人)が指定されていれば、その方が相続人に代わって銀行への手続きを行います。銀行には遺言書と併せて遺言執行者の印鑑証明書や身分証明書類などを提出します。遺言が自筆証書遺言で検認を受けた場合は、家庭裁判所から交付される検認済証明書を遺言書とともに提示します。遺言書があることで相続人全員での遺産分割協議が不要となるため、一般的には手続きの負担は軽減されます。

専門家への相談も検討を
相続手続きを進める中で、「自分たちだけで進められるか不安」「仕事が忙しくて書類集めまで手が回らない」と感じる方もいるでしょう。そうした場合は、早めに専門家への相談を検討しましょう。銀行には相続手続きの相談窓口があり、専任の担当者が対応してくれます。しかし、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、相続税の申告、不動産の名義変更など、銀行の手続きだけでは完了しない作業も多くあります。特に相続税の計算や不動産の相続登記(名義変更)は、銀行では代行できず有資格の税理士・司法書士などによって行われる業務です。そこで、行政書士・司法書士・税理士・弁護士といった専門家に依頼すれば、必要な手続きを一括してサポートしてもらえます。例えば行政書士は戸籍収集や書類作成のプロであり、銀行提出用の書類準備をスムーズに代行します。
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一樹行政書士事務所
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