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遺産分割協議書の必要書類とは

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遺産分割協議書の必要書類とは

遺産分割協議書の必要書類とは

2025/05/01

相続が発生し、「遺産分割協議書」という聞き慣れない書類を用意しなければならなくなった…そんな状況に戸惑っていませんか?私も祖母が亡くなったとき、まさに同じ気持ちでした。遺産分割協議書とは一体何なのか、どんなケースで必要になるのか、そして作成にはどんな書類を集める必要があるのか――初めて相続手続きをする方にもわかりやすく、名古屋市での具体的な書類取得方法を交えながら解説します。

この記事を読み終えれば、自分で必要書類を揃えて遺産分割協議書を作成する準備が整います。一緒に一歩ずつ進めていきましょう!

目次

    遺産分割協議書って何?どんな場合に必要なの?

    まず、「遺産分割協議書」という言葉自体が難しく聞こえますよね。簡単に言うと、遺産分割協議書は、亡くなった方(被相続人)の遺産を相続人たちでどう分けるか話し合った結果をまとめた書面のことです。家族会議の議事録兼みんなの合意書、とイメージするとわかりやすいかもしれません。

    では、どんな場合にこの協議書が必要になるのでしょうか?主なケースは以下の通りです。

    遺言書が残されていない場合

    被相続人が遺言を残していないと、法律上は相続人全員で遺産をどう分けるか話し合う必要があります。その合意内容を形にしたものが遺産分割協議書です。

    相続人が複数いる場合

    例えば相続人が配偶者と子ども2人、といったように複数人いるときには、遺産分割協議書を作成して全員が署名・実印押印します。相続人が一人(単独相続)の場合は、そもそも分ける相手がいないので協議書は不要です(私の友人は一人っ子だったので、この書類は作らずに済みました)。

    遺言書はあるが記載のない財産がある場合

    遺言に書かれていない財産が見つかった場合や、遺言の内容とは別に相続人全員で改めて分け直すことで合意した場合にも、改めて協議書を作成することがあります。

    例えば、不動産の名義変更(相続登記)や銀行預金の払戻し手続きなどでは、遺産分割協議書の提出が求められることが一般的です。私も実際、父名義の自宅の不動産登記を自分名義に変える際に法務局へこの協議書を提出しましたし、銀行で定期預金を解約して名義変更する際にも求められました。「本当に家族みんながこの分け方に合意しています」という証拠として提出するイメージですね。

     

    要するに、複数の相続人がいる相続手続きでは遺産分割協議書がほぼ必須です。反対に、例えば名古屋市在住のAさんが亡くなり、相続人が配偶者Bさん一人だけという場合には、Bさんが単独で全財産を相続するため協議書は不要です(役所や銀行には戸籍で一人相続であることを証明して対応します)。

    遺産分割協議書の作成に必要な書類一覧

    では本題です。遺産分割協議書を作成するために、具体的にどんな書類を集める必要があるのでしょうか?大きく分けると以下の5つがあります(ケースによって追加の書類が必要な場合もありますが、基本はこの5項目です)。

    • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
    • 相続人全員の現在の戸籍謄本
    • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
    • 相続人全員の印鑑登録証明書(実印)
    • (あれば便利)財産目録など遺産の内容が分かる資料

     

    聞き慣れない言葉も多いですが、一つひとつ見ていきましょう。名古屋市での取得方法や窓口もあわせて解説しますので、ご安心ください!

    ① 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)

    まず必要なのが、被相続人=亡くなった方の戸籍謄本です。ただし一通で済むとは限りません。「出生から死亡まで途切れなく連続した戸籍謄本」とよく表現されるのですが、これは被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍記録を集めるという意味です。なぜこんなにたくさん?と思いますよね。

    戸籍謄本は、一人の人生の中で本籍地を移したり婚姻したりするたびに新しく編製されます。例えば、私の父は名古屋市で生まれた後、一度東京に本籍を移し、その後結婚を機に名古屋市に本籍を戻していました。このような場合、名古屋市→東京→名古屋市と戸籍が複数存在することになります。相続人を確定するには出生から死亡までのつながった戸籍が必要なので、過去の古い戸籍(除籍謄本や改製原戸籍と呼ばれるもの)まで含めて取得する必要があるのです。

    戸籍謄本をどこで取るか(名古屋市の場合)

    戸籍は本籍地の市区町村役場で管理されています。被相続人の本籍地が名古屋市内であれば、その本籍のある区の区役所で戸籍謄本を請求できます。例えば本籍が名古屋市中村区にあれば中村区役所、市民課の戸籍窓口が請求先です。請求の際は戸籍の交付請求書に必要事項を記入し、窓口に提出します。本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)も提示が必要です。戸籍謄本の手数料は1通450円(名古屋市の場合)です。窓口に行くときは平日の開庁時間(通常午前8時45分~午後5時頃)に行きましょう。

    郵送での取得

    平日に区役所へ行くのが難しい場合、郵送で戸籍謄本を取り寄せることも可能です。名古屋市役所には「証明書交付センター」という郵送請求専用の窓口があります。請求書や本人確認書類のコピー、定額小為替(手数料分)、返信用封筒などを同封して、下記住所に郵送します。到着から約1週間で返送されます。私も過去に郵送請求を利用しましたが、きちんと返信用封筒に切手を貼り、自分の住所を書き忘れないよう注意してくださいね。

    名古屋市証明書交付センター(郵送請求先)
    〒456-8502 名古屋市熱田区神宮三丁目1番15号

    ちなみに、2024年3月から戸籍の広域交付サービスが全国で始まりました。これは、マイナンバーカードを使って本人確認することで本籍地以外の役場でも戸籍を取得できる制度です。例えば本籍が東京にある人が名古屋市役所で戸籍を取る、といったことも可能になりました。ただし、この広域交付を利用できるのは請求者がその戸籍に記載された本人か直系親族の場合など条件があります。また、残念ながら名古屋市はコンビニ交付サービス(マイナンバーカードを使ったコンビニでの証明書発行)に未対応です。(大都市では名古屋市だけサービス開始が遅れており、2025年現在もコンビニ交付は利用できません。)

    信じられなくないですか?コンビニで取れないんですよ?名古屋で?こんだけ人がいるのに?
    私はマイナンバーカードを作った時に、これで住民票を取るのにいちいち区役所に行かなくて済むわと窓口で雑談したら、役所の人が「まだ対応してないんです・・・」って。

    そのため、名古屋市の場合は区役所の窓口か郵送で取得する方法が現実的です。

    戸籍収集のワンポイント

    被相続人の親族関係が複雑な場合(再婚して子どもがいる、認知した子がいる、子がおらず代わりに兄弟姉妹が相続人になる等)では、必要な戸籍も増えてしまうことがあります。例えば子どもがいない場合、第二順位の相続人である親御さんの死亡の有無を確認するため被相続人の両親の出生~死亡までの戸籍も追加で必要になるケースがあります。こうした複雑な場合は専門家(司法書士や弁護士)に相談するのも一つの手です。

    ② 相続人全員の現在の戸籍謄本

    次に相続人全員(遺産を受け取る権利がある人全て)の戸籍謄本も用意します。こちらは各相続人が「今現在生きていること」を確認するための書類です。被相続人の戸籍謄本を集めることで「誰が相続人か」は確定できますが、その相続人たちが今も存命であることや現在の氏名・本籍などを示すには各人の現在戸籍が必要となります。

    例えば、兄がいた場合、兄が結婚して本籍を別に移していれば父の戸籍からは抜けています。このように結婚などで戸籍が分かれている相続人については、その人自身の戸籍謄本を取得しなければなりません。逆に、被相続人の最終の戸籍にすでに載っている相続人(例:婚姻していない未成年の子など)は改めて戸籍を取る必要はない場合もあります。

    取得方法

    基本的には先ほどと同様、各相続人の本籍地の役場で取得します。名古屋市在住で本籍も名古屋市内にある相続人であれば、その区の区役所で取得可能です。相続人本人であれば自分の戸籍を請求できますし、直系親族であれば互いの戸籍を取得することもできます(ただし兄弟姉妹間は直系ではないため、理由書の記入や委任状が必要になるケースがあります)。

    費用や請求の手順は戸籍謄本1通450円、窓口または郵送で取得…と①の戸籍謄本と同様です。相続人が多いと集める戸籍も多くて少々大変ですが、頑張って集めていきましょう。

    豆知識

    相続関係の戸籍を一式そろえる代わりに、法務局の「法定相続情報一覧図の写し」という書類で代用できる制度もあります。これは戸籍一式を法務局に提出すると、その内容を一覧にまとめた証明書を発行してもらえる仕組みです。一度に複数機関へ相続手続きする場合、戸籍原本を何部も用意する代わりにこの一覧図を使うと便利です。しかし一覧図を作成するにも結局戸籍は集める必要がありますし、初心者には少しハードルが高いので、まずは地道に戸籍を集める方法で問題ありません。

    ③ 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

    聞き慣れない「除票」「附票」という言葉が出てきました。これは亡くなった方の「最後の住所」を証明する書類です。遺産分割協議書の本文中には被相続人の最後の住所を記載する欄があります。そのため、その住所が公的に確認できる書類として「住民票の除票」または「戸籍の附票」のどちらかを用意します。

    住民票の除票(じょひょう)

    簡単に言えば、「亡くなった方の住民票が死亡により除かれたことを示す証明」です。亡くなると住民票は「除票」扱いとなり、生きている人の住民票とは別枠で保管されます。除票には氏名・生年月日・本籍・死亡年月日・除かれた住所(最後の住所)などが記載されています。私は父の手続きの際、この除票を取得しましたが、父が最期に住んでいた名古屋市内の住所と「令和○年○月○日 死亡のため除票」などと記載されていました。

    戸籍の附票(ふひょう)

    こちらは戸籍に付随して作られる書面で、その戸籍に属する人がこれまでどんな住所に住んでいたかの履歴が一覧になっています。被相続人の本籍地の市区町村で取得でき、最後の住所もそれで確認できる場合があります。

    どちらを取得すべき?

    基本的にはどちらか一方があればOKです。一般的には亡くなった方の最後の住所地で「住民票の除票」をもらうケースが多いです。なぜなら除票のほうが「死亡によって除かれた住民票」ということが一目で分かり、銀行や法務局などに提出する際にも馴染みがあるからです(私も銀行手続では除票の提出を求められました)。一方、被相続人の本籍地が最後の住所地と異なる場合でも、本籍地で附票を取れば住所履歴として最後の住所が載っているため、それで代用することも可能です。手間的には、被相続人が亡くなった当時住んでいた市区町村で除票を取るのが確実でしょう。

    取得方法(名古屋市の場合)

    住民票の除票: 被相続人の最後の住所地の区役所で取得します。例えば亡くなった方が名古屋市千種区に住民登録していたなら、千種区役所で請求します。請求には住民票等の交付申請書に必要事項を記入し、本人確認書類を提示します。さらに、請求者が相続人であることや利害関係人であることを示す書類の提示や提出を求められる場合があります。利害関係を証明する書類としては、被相続人と請求者の関係がわかる戸籍謄本などが該当します。例えば、父の除票を取る際に自分が子であることを証明するため、父の戸籍(自分の名前が載っているもの)を一緒に提出します。手数料は1通300円です(名古屋市)。郵送請求も可能で、その場合も本人確認書類コピーや戸籍謄本のコピーなど利害関係を証明する資料を同封します。

     

    戸籍の附票: 被相続人の本籍地の区役所で取得します。請求できる人や手続きは戸籍謄本の場合とほぼ同じで、直系親族である相続人であれば請求可能です(第三者請求は制限があります)。手数料は1通300円(市区町村によって200~400円程度)。請求時に直系親族であることを証明する戸籍書類が必要になる点も除票と似ています。

     

    名古屋市であれば、例えば本籍が中区にある方の附票は中区役所で取ります。除票と附票、両方用意すべきか迷うかもしれませんが、基本どちらかで良いので、被相続人の最後の住所地が名古屋市なら除票を出せば十分でしょう。

    ④ 相続人全員の印鑑登録証明書(実印の証明)

    次に必要なのが、相続人全員の印鑑登録証明書です。これは各相続人が役所に登録している「実印」(正式に登録したハンコ)が本人のものだと証明する書類です。遺産分割協議書には相続人全員が実印を押す必要があるため、その実印が確かに本人のものですよ、と示すために印鑑登録証明書を添付します。

    例えば協議書に私と兄と母の3人の実印が押された場合、それぞれについて印鑑証明書を付けておけば、金融機関や法務局の担当者も「なるほど、この印影は確かに本人の実印だな」と安心するわけです。

    取得方法(名古屋市の場合)

    各相続人それぞれが住民登録している市区町村役場で取得します。名古屋市に住んでいる相続人なら、自分の住所地の区役所で申請します。印鑑証明書の発行には前提として印鑑登録をしている必要があります。名古屋市では住民登録している区で印鑑登録を行うと「印鑑登録手帳」(カードサイズの証明書)が発行されます。すでに実印登録済みの方はその印鑑登録手帳を持参してください。窓口で印鑑登録証明書交付申請書に必要事項を記入し、手帳(カード)と本人確認書類を提示すれば即日発行してもらえます。手数料は1通300円です。発行された印鑑証明書には氏名・住所・生年月日とともに登録された印影(はんこの押した影)などが記載されています。

    もしまだ印鑑登録をしていない相続人がいる場合は、先に印鑑登録手続きを済ませましょう。印鑑登録は区役所市民課で行えます。登録したいハンコ(シャチハタ不可)と本人確認書類を持参し、所定の印鑑登録申請書に記入して提出します。名古屋市では基本即日で登録が完了し、その場で印鑑登録手帳(カード)を受け取れます。印鑑登録の申請手数料自体は無料で、登録後の証明書発行時に1通300円の費用がかかる形です。なお、名古屋市では市内で引っ越した場合も印鑑登録が引き継がれる制度になっているので、例えば同じ名古屋市内で転居しただけなら改めて登録は不要です。

    代理での取得

    相続人本人が忙しくて区役所に行けない場合、代理の人に頼んで印鑑証明を取ってきてもらうこともできます。印鑑証明の場合、印鑑登録手帳(カード)を持っている人が窓口に行けば代理人でも発行可能です(委任状は不要。ただしカードと申請書は必要)。例えば私は仕事で行けなかったので、妻に私の印鑑登録カードを預け、代理で証明書を取ってきてもらったことがあります。もちろん郵送での取得はできませんのでご注意ください。

    名古屋市内には栄サービスセンターという証明書発行拠点もあり、平日夕方以降や土曜でも印鑑証明書を発行してくれます。場所は栄地下街(栄町駅改札口南)で、仕事帰りに立ち寄れて便利です。私も土曜日に一度利用しましたが、窓口が空いていて助かりました。区役所より営業時間が長いので、平日お忙しい方は活用すると良いでしょう。

    ⑤ (あれば便利)財産目録や資産の資料

    最後に挙げるのは「財産目録」です。これは法律で必須と定められたものではありませんが、あるととても便利な書類なのでご紹介します。財産目録とは、文字どおり相続財産の一覧表です。被相続人が持っていた預貯金口座、不動産、自動車、株式など、すべての財産をリストアップしたものになります。

    なぜ用意したほうが良いかというと、相続財産を漏れなく把握することが相続手続きの基本だからです。財産目録があれば、遺産分割協議書に何をどう分けるか明記しやすくなりますし、後から「この財産をうっかり分け忘れていた!」というミスも防げます。

    財産目録の作り方

    形式は自由ですが、例えばエクセルや紙に「預貯金:〇〇銀行△△支店 普通預金 口座番号XXXXXX(残高○○円)」「不動産:名古屋市○区○○○町×丁目×番× 土地○㎡・建物○㎡」などと一覧にします。相続人同士で情報を出し合い、漏れがないようにしましょう。

    作成に役立つ資料

    財産目録を作る際、各種資料を取り寄せて正確な情報を把握することをおすすめします。例えば以下のようなものです。

    ・不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

    不動産(土地・建物)がある場合、その登記情報を法務局で取得できます。名古屋市なら名古屋法務局(中区三の丸)や各地方法務局の窓口で、不動産所在地を伝えて登記事項証明書を交付してもらえます。手数料は1通600円程度です。これには不動産の所在地番や地積、所有者名(被相続人名義)、権利関係などが詳細に載っています。遺産分割協議書に不動産を記載する際、この情報を参考に間違いなく書くことができます。例えば、父親名義の土地建物について法務局で取得するなら、窓口で「相続のため名義変更予定です」と相談すれば丁寧に教えてくれるかと思います。

    ・銀行預金の残高証明書

    複数の預金口座がある場合、各銀行から残高証明書を取っておくと安心です。残高証明書とは、ある特定日時(通常は被相続人の死亡日など)時点での口座残高を証明する書面です。銀行に所定の依頼書を提出すると発行してもらえます(手数料は1通1,000円前後)。発行に1~2週間かかることもありますが、金額が大きい場合や相続税申告の必要がある場合には用意しておくと良いでしょう。もっと簡易的には、被相続人の通帳やオンライン口座の画面を印刷する形でも目安は掴めます。

    ・車の登録証(車検証)コピー

    自動車を相続する場合、車検証の内容(所有者名や車台番号)が必要になります。被相続人の車検証をコピーしておきましょう。

    ・有価証券やその他財産の資料

    株式や投資信託なら残高報告書、生命保険金なら保険証券、貴金属や骨董品なら鑑定書など、評価や中身が分かる資料があれば目録作成に役立ちます。

    こうした資料を基に財産目録を作っておけば、遺産分割協議の話し合いもスムーズになります。「見える化」って大事ですよね。

    なお、財産目録自体は提出書類ではないので、自作のリストでOKです。ただし被相続人が生前にエクセルで資産一覧を作っていたとか、公正証書遺言作成時の財産目録がある、という場合はそれを活用できます。

    書類が揃ったら…いよいよ遺産分割協議書を作成!

    ここまで集める書類を説明してきました。被相続人の戸籍一式、相続人の戸籍、除票(または附票)、印鑑証明書、そして財産目録まで揃えば準備万端です。私もすべて集め終わったときは、一仕事終えた達成感がありました。さて、いよいよ遺産分割協議書本体の作成に取り掛かりましょう。

    協議書の書式や書き方:実は遺産分割協議書には決まった役所指定の書式はありません。白い紙に手書きでも構いませんし、パソコンで作成して印刷してもOKです。一般的には以下のような項目を盛り込んで作成します。

    • タイトル:「遺産分割協議書」と中央上部に記載
    • 被相続人の氏名・死亡日・最後の住所(住民票の除票等で確認した住所)
    • 分割の内容:どの財産を誰が相続するかの取り決めを箇条書きや表で記載
    • 附記事項(必要に応じて):例えば代償金の支払い方法や、今後判明した財産の取り扱い方法など特記事項があれば記載
    • 作成年月日:協議書を作った日付を記入(亡くなった日から10か月以内が望ましいと言われます。相続税申告期限と関係するためです)。
    • 相続人全員の署名・住所・押印(実印):これはとても重要です。相続人一人ひとりが自分の氏名と住所を直筆で書き、実印を押します。

    実印を押したら、各自の印鑑証明書を添付します(ホチキス留めでも良いですし、提出先ごとにクリップで添える形でもOK)。協議書は相続人の人数分+提出先機関分、複数原本を作成しておくと便利です。例えば相続人が3人なら最低3部、加えて銀行提出用、法務局提出用などに2~3部ほど作成し、合計5~6部作るケースもあります。後からコピーで済ませようとしても、先方によっては「原本を提出してください」と言われることがあるため、最初から実印押し済みの原本を多めに用意しておくと安心です。私の父は3人兄弟だったので各自1部ずつ保管用に持ち、さらに主要な銀行と法務局提出用に計6部作りました。

    書類一式を使って各種手続きへ

    遺産分割協議書が完成したら、いよいよ具体的な相続手続きを進めます。協議書と戸籍類、印鑑証明書をセットにして、不動産の相続登記や銀行口座の名義変更・払戻しに取り掛かりましょう。例えば不動産の場合、先述の戸籍や除票・協議書一式を持って名古屋法務局へ申請します。不動産の相続登記は2024年から義務化されましたので、相続が発生したらできるだけ早めに手続きを済ませましょう(期限は原則3年以内です)。銀行手続きでは各金融機関所定の用紙(相続届など)があるので、窓口で聞いて必要書類一式と共に提出します。協議書に「〇〇銀行の預金は○○が取得する」と明記してあれば、その人だけが行けば手続きできる場合もあります。このへんは金融機関によって取り扱いが異なる場合がありますので、事前に確認されることをおすすめします。

    名古屋市での相談先

    初めての相続手続きで不安なことも多いと思います。名古屋市では各区役所で戸籍や証明の取得について親切に教えてくれますし、名古屋おしえてダイヤル(電話052-953-7584)といった市の総合案内サービスもあります。また、愛知県行政書士会や弁護士会では相続手続きの無料相談会を開催していることもあるので、どうしても行き詰まったら専門家の力を借りるのも一つの方法です。とはいえ、今回ご紹介したように必要書類を順番に集めていけば、遺産分割協議書作りは決して不可能ではありません。

    最後に、特殊なケースで追加の書類について少し触れておきます。例えば、相続人の中に相続放棄(家庭裁判所で手続きをして相続権を放棄すること)をした人がいる場合、その人は初めから相続人ではなかった扱いになります。しかし協議書を作る段階で「〇〇さんは相続放棄しました」と口頭で言われても、他の第三者には証明になりません。そこで、もし身内に相続放棄をした方がいるなら、「相続放棄申述受理証明書」という家庭裁判所が発行する証明書を見せてもらうと良いでしょう(協議書に添付できればベター)。この書類は必須ではありませんが、相続放棄が正式に受理されたことを示す公的証明なので安心材料になります。また、相続人に未成年者がいる場合は特別代理人の選任(家庭裁判所での手続き)が必要になるケースもあります。こうした特殊事情があるときは、専門家への相談も検討してください。

    まとめ

    長くなりましたが、遺産分割協議書の作成に必要な書類を整理すると以下のようになります。

    • 戸籍謄本類(被相続人の出生~死亡まで/相続人全員の現在戸籍):相続人確定と生存確認のため。名古屋市では本籍地の区役所窓口か郵送請求で取得。
    • 住民票の除票 or 戸籍の附票(被相続人の最終住所):協議書に記載する最後の住所確認のため。名古屋市では最後の住所地の区役所で除票を取得(本籍地で附票取得も可)。
    • 印鑑登録証明書(相続人全員分):協議書に押す実印が本人のものと証明するため。名古屋市では各人の住所地の区役所・支所で取得(手数料300円)。
    • 財産目録(任意):遺産内容を整理し漏れなく把握するための一覧表。必要に応じて不動産の登記事項証明書や銀行残高証明書などを取得して作成。
    • これらを揃えれば、あとは協議書に相続人全員で署名・実印押印するだけです。専門用語も多く初めは戸惑うかもしれませんが、一つずつ集めていけば確実に前進します。名古屋市の場合、区役所や市のサービスをうまく活用して、ぜひ頑張ってみてください。

    ここまで読んでいただいて、いや、もうめんどくさいわ、その手続き。と思われた方は、是非、当所までご依頼ください。

    法定相続人調査から書類収集、相続財産の調査、法定相続情報一覧図の作成、提携士業による不動産登記、税務相談・申告まで一括でサポートさせていただきます。

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    名古屋で遺産分割協議書の作成

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